会いたい人に会える場所~表浜BLUE WALK~
毎年8月、愛知県豊橋市の学生たちが中心となって、
50km以上に及ぶ表浜海岸を一週間歩き通してゴミ拾い活動をする団体がある。
“表浜BLUE WALK”だ。
モットーは、明るく、楽しみながら。
ごみ拾いという活動は真面目ながら、
仲間でワイワイ盛り上がり「楽しんで取り組む」その姿勢が注目され、
大学生、社会人など世代を越えた大勢の参加者を集める大型サークルへと成長。
各種メディアにも多数取り上げられている。
そんな表浜BLUE WALKの現事務局を務めるお二人に
成功の秘訣と、やりがいについて話を伺った。
左:共同代表 渡辺 祥子さん
右:現役学生メンバーさん
~きっかけは?~
結成は2007年。
当時豊橋技術科学大学の3年生が友達と表浜を訪れた時、
思った以上にゴミが多かったことに驚いたそうです。
「将来自分の子供を汚れた浜で遊ばせたくない」
そんな思いから、学生ならではの気軽なノリと行動力でゴミ拾い活動をスタート。
仲間とワイワイ楽しみながら環境や社会に貢献できるとあって参加者の達成感が高く、
次年度から毎年恒例の定期イベントへと成長したといいます。
~苦労したことは?~
もちろん活動初期はいろいろな苦労がありましたが、
特に大変だったのは「地図を作ること」だったとか。
50kmもの距離を移動しながらゴミ拾いをするには地図が不可欠ですが、
浜へと繋がる道はどれも細く、地図に載っていません。
どこを通れば浜に出られるのか、補給車が通れるのはどこか、
その日の宿泊地へはどこから戻れるのか……
地図に乗らない細い道をしらみつぶしに探し、
学生手づくりの地図をつくったといいます。
渡辺「良く驚かれるんですが、
当時作った手づくりの地図は、現在でもしっかり使っているんです。
当時のスタッフの苦労が今に生きているんですね。」
~活動の魅力は?~
表浜BLUE WALKは『会いたい人に会える場所』を一つのコンセプトとして活動しています。
「ゴミ拾いをやりたい!」というボランティア精神だけではなく、
「去年の活動で会ったあの人たちにまた会いたい!」
という理由で参加する人たちも多いそうです。
渡辺「スタッフがみんな明るく前向きで、
魅力的な人が本当に多いんです。
そうした人たちに出会い、一緒に活動し、苦労や達成感を共有できるのは
本当に魅力的です。」
たかがゴミ拾い、されどゴミ拾い。
モクモクと真面目に活動するよりも、
楽しくワイワイ盛り上がりながら前向きに取り組む団体の姿勢が
魅力的な人々を引き寄せているのかもしれませんね。
~どうして沢山の人が集まるの?~
理由は大きくわけると2つ。
1つ目は、前項でも触れましたが、参加者やスタッフさんの人柄の良さ!
交友を深める企画などで、その面は現れてくるそうです。
もう一度あの夏の体験を味わいたいなどの感想が多いらしく、リピーターも多いんだとか。
2つ目に、TV取材・新聞社に取り上げられたことです。
マスメディアに取り上げられたことにより、地元での認知度は言うまでもなく、
あらゆる方面の人たちにも知っていただけるような存在になりました。
今年は、すでに下見であるプレウォークが行われました。
本番に向けた準備は進んでおり、夏に行うため、日焼け対策や熱中症対策などの安全性も上がっているんだとか。
また、食事面でもスーパーとの交渉を行い、食事炊飯の用意をしたり、バス会社の手配をしたりなども進んでいるそうです。
こうした、しっかりとした運営体制を誇る表浜BLUE WALKさん、
実行委員数は20人程度で、参加者の8,9割は学生さんだそうです。
こういった人的魅力が表浜BLUE WALKが成長していった秘訣かもしれませんね!
~ただひたすらゴミを拾い続ける団体ではありません。(笑)~
表浜BLUE WALKでは参加者が交友を深めるいろいろな活動をしているそうです。
みんなで輪になって、自分のことを語る『語らナイト』というワークショップや、
参加者で自分たちのご飯を作ったりしているんだとか。
とっても楽しそうですね!
渡辺「活動最終日には、日常にもどっても、何か一つ
『環境に良いこと』をする宣言をし、
お互いに意識を高め合っています。」
こうした「ゴミ拾い以外の活動」をみんなで協力して、楽しみながら行うことが
表浜BLUE WALKの魅力をさらに高めているのかもしれませんね。
~どれくらいの量を拾ってるの?~
表浜BLUE WALKでは10日間でなんと 〈3.5t〉、袋にすると《938袋》にもなるゴミを拾っているそうです!
中には、面白いゴミも多く、ハングル文字の書かれたものや、椅子といった大きなものもあるそうです。
こういった面白いゴミを見つけることもやりがいの一つだとか。
~今後の目標は?~
渡辺「活動を通じて、多くの人がつながっていき、
環境について考える人が1人でも多くなっていったらうれしいですね。」
とても素晴らしい目標を教えてくれました!
活動は8月の夏休みの期間ということなので、
ボランティアに参加してみたいな~という方は(そうでない人も)是非参加してみてはいかがでしょうか!
表浜BLUE WALKさん、ありがとうございました!
取材・原稿執筆
名古屋大学 3年 吉田圭佑(中央)
名古屋工業大学 1年 前田衛門(右)
名古屋工業大学 1年 原田直哉(左)